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大阪高等裁判所 平成7年(ネ)1414号 判決 1997年9月16日

控訴人

和田弘子

右訴訟代理人弁護士

大野町子

北本修三(ママ)

氏家都子

小田幸児

高瀬久美子

養父知美

被控訴人

日本国有鉄道清算事業団

右代表者理事長

西村康雄

右訴訟代理人弁護士

高野裕士

右訴訟代理人

福田一身

三国多喜男

他七名

主文

一  原判決を次のとおり変更する。

1  被控訴人は、控訴人に対し、一九万四九八〇円及びこれに対する平成五年五月一五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は、第一、二審を通じてこれを五〇分し、その一を被控訴人の、その余を控訴人の、負担とする。

三  この判決の第一項1は、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  原判決事実及び理由欄第一記載のとおり。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

4  仮執行の宣言

二  被控訴人

1  本件控訴をいずれも棄却する。

2  控訴費用は控訴人の負担とする。

第二事案の概要

一  事案の概要は、原判決一〇頁六行目の各「協約」を「協定」と改め、同一七頁七行目冒頭の「(一)」を削り、同八行目の「された」の次に「後、控訴人主張のとおり、昭和四一年協定が昭和六二年三月三一日廃棄されるまで有効に存続していたことは認める」を加え、同末行の冒頭から同一八頁七行目冒頭の「(四)」までを削るほかは、原判決事実及び理由欄第二記載のとおりであるから、これを引用する。

二  当審主張

1  控訴人

(一) 退職手当支給請求について

(1) 法二条一項について

(ア) 国鉄においては、臨時雇用員の使用は、協約(<証拠略>)により、(a)著しく波動のある業務又は臨時に必要がある場合、(b)業務の体質改善等の過程等において、要員需給上必要ある場合、(c)その他特に必要と認めた場合に限定され、控訴人のような常勤的臨時雇用員は本来あり得ない雇傭形態であった。控訴人の雇用契約は、形式的には、二箇月毎に契約更新を繰り返していたが、当初から長期継続勤務が予定されていたものであって、控訴人の業務は、臨時的ないし波動的な業務ではなく、大阪工事局の恒常的な勤務であった。控訴人の雇傭は反復更新が予定されているものであり、一一年にもわたって勤務を継続したものである(日給の約定は長期雇用と別段矛盾しない。)。そして、控訴人のような臨時雇用員は公労法の適用を受ける職員とされているのであり、退職手当制度のうちには、長期の勤続に対する報奨という要素が含まれているのであって、以上の諸点を併せ考えると、右に述べたような勤務実態にある控訴人は、法二条一項にいう「常時勤務に服することを要するもの」に該当し、退職手当を受給する資格があるというべきであり、法律上の定員内の職員でないことから、右資格を否定されるいわれはない。

(イ) 控訴人は、長男出産の間際である昭和四八年一〇月一五日まで出勤し、当時の労働基準法上の産休期間一二週間を休んだ後、昭和四九年一月七日出勤したが、国鉄の都合で、待機を命じられ、現実の就労開始は同年一月一〇日となった。控訴人は、昭和四八年九月三〇日付退職願(<証拠略>)を、同日(日曜日)提出したものではなく、翌年の昭和四九年に退職復帰した以降に、当時の国労大阪工事局分会交渉部長竹内義明と大阪工事局総務課長長原との労使交渉の結果、出産後も雇用を保障するとの約束の下に、出産休暇後に形式的な事務処理の必要上、右書面の提出を求められて、国鉄に右書面を提出したものである。したがって、退職願の形式をとってはいるものの、実際には退職届ではなかった。国鉄側も、労基法六五条、六六条により、使用者は産前産後に休暇を付与すべき義務があり、かつ控訴人が右事情の下に、産休に入ったことは十分承知して、右形式的事後措置をとったものである。この点は、国鉄が、職員の退職時に発行を義務づけられている国家公務員等退職表の発行等、退職に伴う事務手続がなされていないこと、国鉄が、昭和四九年一月一〇日、控訴人を新規雇用したのであれば、退職手当法による退職手当需給資格が発生するまでは、雇用保険法六条の適用除外にならないため、雇用保険をかけることが義務づけられているにもかかわらず、雇用保険もかけていないことからも裏付けられる。

(ウ) 仮に控訴人が法二条二項の適用を受けるとしても、被控訴人による控訴人の退職手当算定期間に関する取扱は、解釈運用方針第二条関係及び法施行令一条の文理に反し違法である。すなわち、右解釈運用方針は、法二条の適用範囲を定めるものであって、同法の適用を前提とする退職手当算定の対象である勤続期間の計算についての解釈を示すものではない。この点は、雇用保険法に関する国鉄の運用からも明らかである。すなわち、雇用保険法は、すべての事業所、労働者に雇用保険加入義務を負わせているが、同法六条四号は、「国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用されるもののうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、失業給付の内容を超えると認められる者であって、労働省令で定めるもの」は適用除外としているところ、同法施行規則四条一項は、「国の事業に雇用される者(法二条一項に規定する常時勤務に服することを要する国家公務員以外の者であって、同条二項の規定により職員とみなされない者を除く)」を右適用除外者とする。控訴人ら臨時雇用員は、法二条二項の「職員とみなされる者」で、右施行規則による「国の事業に雇用される者」として、右適用除外者として取り扱われてきたものであって、国鉄大阪工事局における実際の運用においても、控訴人ら臨時雇用員については、入社当初六か月のみ雇用保険をかけ、以後、出勤日数が二二日を切っても、雇用保険に再加入する等の措置はとられていない。出勤日数二二日によって、退職手当算定期間から外す扱いをすれば、退職手当が失業給付を下回ることが生じるのであり(現に控訴人につきこれが生じている。)、本来雇用保険法の適用対象となるはずであるのに、国鉄はこれに見合った措置をとっていないのである。

一方、法施行令一条一項二号は「職員勤務時間以上勤務した日が引き続き一二月をこえる場合」としている。右要件は、各月の勤務日が一日でもあれば足りるという趣旨ではないが、二二日に一日でも欠ければ要件に欠けるという趣旨ではない。実態として、職員と同様に勤務する状態が引き続き一二月をこえる場合を意味するのである。さらに、同号の「そのこえるに至った日以後引き続き当該勤務時間により勤務することとされているもの」の規定の趣旨は、文理上、以後当該勤務時間により勤務することが予定されているものという趣旨である。日曜日や病休の程度によれば、出勤日数が月二二日を切ることは容易に起こりうることであり、かかる月が一月でもあれば、勤続期間が分断され、その後六月以上二二日出勤しなければ、退職手当算定期間とならないという解釈はおよそ条理に反するというべきだからである。したがって、右一二月をこえた日以後の月については、当該勤務時間により勤務することが予定されていれば足り、一般職員の場合であれば、有給休暇、無給休暇、病休等によりまったく勤務しない月であっても、退職手当算定の基礎に算入されることとの均衡上も、実際には二二日に満たなかった月でも退職手当算定期間に含まれると解すべきである。

(2) 法三条の適用について

(ア) 法三条一項は、四条(長期勤続後の退職等)、五条(整理退職等)の場合を除いた、普通退職の場合の退職手当の算出方法を規定する原則規定であって、一一年以上勤めた者に対してだけ適用される規定ではなく、勤続期間が一年以上二四年以下の場合に適用されるものである。一方、同条二項は、いわゆる自己都合退職の場合の減額された支給率を規定する例外的規定であって、その要件は、(1)同条一項に規定する者であること、(2)退職事由が自己都合退職等であること、(3)勤続期間が一年以上一〇年以下であることの三点である。

控訴人は、「業務量の減少のため解雇」されたものであり(<証拠略>)、被控訴人の主張によっても、契約満了に伴い、雇い止めになったものである。自己都合退職でないことは明らかであり(<証拠略>)、かつ昭和四七年三月九日雇用後、途中産休を挟みながらも契約更新を重ねて、昭和五八年九月三〇日まで雇用関係にあったものであるから、法三条一項が適用されるべきである(<証拠略>「公務員の退職手当質疑応答集」も同旨の見解をとっている。)。

(イ) 被控訴人は、基準規程(<証拠略>)一〇条一項及び二項につき、いわゆる普通退職と自己都合退職の区分に対応するものではなく、勤続年数の長短によって支給率に差異を設けたものであるとして、普通退職をした者についても、勤続年数一〇年以下の者については同条二項を、一一年以上の者については同条一項を適用するものとするが、かかる慣行が国鉄において確立していたことはない。従来、臨時雇用員が勤続一〇年以下で普通退職をした事例がなく、臨時雇用員はすべて自己都合により退職していたことから、同条二項が適用されていたにすぎないのに、被控訴人担当者は、根拠法規に対する基本的知識や理解の欠如から、事情の全く異なる本件解雇の場合に、誤って、漫然と同条二項を適用したというのが事の真相である。

控訴人については、本来整理解雇の規定(基準規程一二条)が適用されてしかるべきであるが、臨時雇用員については右適用が排除されているので、右適用は無理であるとしても、自己都合退職でないことは明らかであるから、自己都合退職の場合の規定を適用する根拠がないことは明白である。この点は、解釈運用方針第三条関係二においても、法三条二項に規定する「その者の都合により退職した者」には、法令で定める定年に達して退職した者又は法令で定める任期満了等により退職した者を含まないこと。」とされており、自己都合退職率の適用は、あくまでも純粋に本人の都合による場合に限定されることは明らかである。

(3) 退職手当算定の基礎となる俸給月額

被控訴人は、控訴人の退職手当算定にあたり、賃金日額の八割相当額の二五倍分を算定基礎としたが、右処理は、法の諸規定、基準規程(<証拠略>)及び諸給与等取扱基準規程(<証拠略>、昭和四四年三月経達第一五号一一五頁以下)に反し、違法である。

すなわち、法三条は、「退職した日におけるその者の俸給月額(俸給が日額で定められている者については、俸給の日額の二五日分に相当する額)」と規定し、同法施行令では、「計算の基礎となる俸給月額は、職員が退職の日において休職、停職、減給その他の理由によりその俸給(これに相当する給与を含む)の一部又は全部を支給されない場合においては、これらの理由がないと仮定した場合においてその者が受けるべき俸給月額とする」と規定する。また、基準規程一〇条は、「退職の日における基本給月額」を退職手当算定の基礎としている。そして、同第二条(6)は、「基本給月額」を定義して、職員管理規程に定める準職員の「基本賃金の月額」を挙げている。

一方、準職員賃金基準規程(<証拠略>)二条は、「賃金」を定義して、基本賃金、職務手当、扶養手当、都市手当、住宅手当、特殊勤務手当、割増賃金及び年次有給休暇日の賃金をいうとしている。右定義によれば、右基本賃金は、職務手当等の諸手当を含まない俸給に相当するものであることは明らかである。

さらに、「解釈運用方針第三条関係」において俸給について規定し、また、基準規程二条六は、「基本給月額とは、次の各号に掲げる月手当、基本給又は基本賃金の月額をいい、その者が退職の日において休職、停職、減給その他これに準ずる理由により、その一部又は全部を支払われない場合は、これらの理由がないと仮定した場合において、その者が受けるべき月手当、基本給又は基本賃金をいう」と規定するところ、臨時雇用員については、基本給のみで、通勤手当以外の手当はまったく支給されていなかったものである。大阪工事局臨時雇用員就業規則二二条には、「臨時雇用員の賃金は、基本給及び割増賃金とする」と規定されており、現に控訴人の国家公務員等退職表(<証拠略>)には、控訴人の日額四八三〇円は「退職時の俸給月額」欄に記載されている。

もっとも、国鉄の事務連絡(<証拠略>)には、「退職の日に於ける賃金日額の八割に相当する額の二五倍に相当する額をもって俸給月額とする」旨記載されているが、右書面は担当者の私的メモであって、国鉄の内部文書にすぎず、法令に反する内容は無効である。

したがって、控訴人の退職金算定の基礎となる俸給月額は、控訴人の退職の日である昭和五八年九月三〇日の日額四八三〇円全額とされるべきである。

さらに、控訴人は、昭和五一年九月三〇日に退職してはいないのであるから、退職手当算定の基礎となる俸給月額は、法三条一項に基づき、控訴人の退職の日である昭和五八年九月三〇日の日額を元にして算出されなければならず、昭和五一年九月三〇日の日額を基礎として算出することは許されない(仮に控訴人につき、途中退職があったとすれば、別段の請求手続を経ることなく、当然に右時点での退職手当が支給されていなければならなかった筈である。)。右解釈は、他の事業に於ける臨時雇用員の処理に照らしても、相当というべきである。すなわち、法律上の定員外の職員が、その処遇上、法二条一項の「常時勤務に服することを要する者(以下「常勤職員」という)」に含まれるものがあり、国有林野事業における基幹作業職員及び常勤作業員はその一例である(<証拠略>、「国有林野事業労務便覧改訂二版」)が、右事業は、退職手当算定に際し、国鉄と同様の法律関係にあると考えられるところ、「俸給が日額で定められている場合は、日額の二五日相当額」に支給率を乗じて、退職手当を算定するものとしている(<証拠略>、国有林野事業労務便覧改訂二版一九八五年)。これによれば、二割相当額を減じる本件退職手当算定方法に合理性がないことは明らかである。

(二) 慰謝料請求について

(1) 国鉄の定員は昭和二四年の行政機関職員定員法に基づき大幅に削減されたが、朝鮮戦争の勃発等により、その業務量は飛躍的に拡大する事態になり、穴埋めとして臨時雇用員が多くの職域で雇用されていった。そのため、組合側は、昭和三二年ころから、不安定な状態で働く臨時雇用員の問題に取り組み、国鉄と交渉を重ねた結果、数次の段階的な協定を経て、昭和四一年協定(<証拠略>)が同年一二月一七日締結された。その後、昭和四二年一二月一五日、昭和四三年一二月一五日及び昭和四四年一二月一五日に同1(ママ)の内容の協定の締結を経て(<証拠略>)、昭和四七年三月一日、昭和五六年六月一日及び昭和五九年一二月一日には、昭和四一年協定の存続が確認されたが(<証拠略>)、昭和六二年三月二五日付覚書(<証拠略>)により、同月三一日廃棄が確認されたものである。

昭和四一年協定は、その締結までの歴史的経過及び協定の合意内容の性格に照らして、単に臨時雇用員の使用に関し一般的・抽象的な方針を合意したものではなく、労働協約であって、国鉄は、国労に対し、控訴人ら臨時雇用員に職員採用試験の受験の機会を与えるべき債務等を含め、臨時雇用員を職員化すべき債務を負ったことは明らかである。しかも、国鉄は、昭和四一年協定の交渉の過程において、「採用試験の受験にあたっては、年齢制限は行うべきではない。」旨の確認もしている。したがって、国鉄が右債務につき違反した場合、債務不履行を構成し、その効果として損害賠償請求権が発生するというべきである。

(2) 控訴人ら事務補助職臨時雇用員の業務内容は、本来正規の職員しか行えない筈の、乗車券類の発行、出張旅費・給与等の金銭の取扱、報告物の作成と提出等を含む、責任ある独立した内容であり、その性質上、臨時的・暫定的なものではなく、工事局の事業運営上不可欠な恒常的業務であった(<証拠略>、原審控訴人本人尋問)。しかも、国鉄は控訴人に対し、採用時に、長期にわたる雇用の継続を約し、国鉄側の都合による雇止めはしないことを約した。実際にも、その後の契約更新手続は完全に形式的であり、控訴人の雇用期間は一一年に及んだものであり、他の臨時雇用員についても、本人の意思に反した雇止め、解雇の事例は皆無である。したがって、右雇用契約は、実質的には、期間の定めのない契約であったにもかかわらず、国鉄は、女性差別的雇用政策に基づき、控訴人らに対して、形式的には、二か月の有期契約による臨時雇用員と呼称し、日給制の下に、すこぶる低額の給与を支給するなど、多くの不利益を与えてきたものであって、右取扱は、法の下の平等(憲法一四条)、男女の同一賃金の原則(労基法四条)、同一労働同一賃金に関する条約(ILO一〇〇号条約)に反し、違法である。

有期契約は、本来、期間満了の時期が来れば、いつでも使用者の都合で契約を終了させることができ、期間は実質的には解雇に等しい機能をもち、解雇予告つき労働契約ということもできる。しかし、解雇には、合理的理由がなければならず、有期契約を安易に認めることは、右解雇制限法理を無意味ならしめ、脱法を犯すことに等しいことに照らして、有期契約には、それが認められるだけの合理的な事由、例えば、業務それ自体の性格が季節性、臨時性をもつ場合、あるいは他の労働者が病気欠勤中で、その期間の代替労働者として雇用する場合などがなくてはならない(国鉄自身の昭和五九年一二月発行の内部文書「国鉄の勤務制度その解釈と運用」も同旨である。)。控訴人の場合は、かかる合理的な事由は一切なかったのであるから、二か月の雇用契約自体が違法といわざるをえない。

(3) 以上によれば、控訴人らを、雇用期間二か月の臨時雇用員として雇用することは、国鉄の内規にも反する違法行為であり、控訴人ら事務補助職臨時雇用員の雇用実態は、実質的に、期間の定めのない契約であったから、右臨時雇用員であることを理由に、臨時雇用員に対し、賃金その他の労働条件において著しい差別的取扱を継続してきたことは違法であり、これにより、控訴人に著しい精神的、財産的損害を与えたものというべきであり、右損害を慰謝料として評価すれば、一〇〇〇万円をくだらない。

2  被控訴人

(一) 退職手当支払請求について

(1) 控訴人については、二か月間の雇用期間を定めた雇用を期間満了により終了させたものであるが、これを仮に実態的に見て、勧奨により退職したものであるとしても、勤続二〇年未満の者については、勧奨退職制度は法に規定がないため(勤続二〇年以上二五年未満の勧奨退職につき、基準規程一一条、勤続二五年以上の勧奨退職につき、同二〇条が定めている。)、勧奨退職した場合でも、基準規程一〇条の自己都合による退職として取り扱うこととされている(<証拠略>、公務員の退職手当質疑応答集三二頁。)。したがって、控訴人については、法三条二項の適用があることは明らかである。

なお、控訴人は、「公務員の退職手当質疑応答集」を援用するが、右書面には、控訴人の場合につき、法三条一項が適用されるべきことは記載されていない。控訴人は、「二か月ごとの契約期間満了」と「法律の規程による任期終了」とを同視し、法三条二項の適用は排除されるべきであると主張するようであるが、右両者を同一視することは正当ではない。

(2) なお、控訴人主張の国有林野事業における退職手当算定方法は、同事業の日給月給の常用作業員に関する者(ママ)と考えられるが、右作業員の場合、日額給与はいわゆる基本給的なものであり、他に扶養手当等が別途支給されている。したがって、退職手当の算定においては、その基礎となる俸給月額については「賃金又は手当のうち俸給に相当する分の額が賃金又は手当の額の算定上明らかである者」に該当するので、「日額の二五倍に相当する額」になるのであり、国鉄の臨時雇用員は、右以外の者であるから、「日額の八割に相当する額の二五倍に相当する額」になるのである(<証拠略>、運用方針第三条)。したがって、国鉄の臨時雇用員とは賃金形態がまったく異なるので、国有林野事業における退職手当算定方法を国鉄の臨時雇用員にあてはめることはできない。

(二) 慰謝料請求について

(1) 昭和四一年協定の法的性格

昭和四一年協定は、控訴人主張の経過を経て、控訴人の退職当時も存続していたものであることは認めるが、右協定は、臨時雇用員の使用に関し一般的・抽象的な方針について合意したものにすぎず、これによって、国鉄が控訴人に対し、控訴人が職員採用試験の受験を希望するときに、受験の機会を与えるべき義務を含め、職員として採用する機会を与えるべき法的義務を負ったものではない。臨時雇用員には、(1)採用試験に合格し、職員に採用を予定されている者(甲臨と呼ばれる。)と、(2)(1)以外の臨時雇用員(乙臨と呼ばれる。)とがあり、昭和四一年協定第二項及び第三項では、甲臨につき、できるだけ早く臨時雇用員の地位を解消して職員化しようとすることが合意されたのに対し、乙臨については、必要に応じて、使用していくこととする(第一項)とともに、第四項で、職員採用試験の受験機会を与えるようにするものとされたものである。したがって、同項は、右受験機会を与えるという努力目標を掲げたものであって、単なる労働政策における努力目標であったものであり、いわゆる労働協約の規範的効力を有するものではない。

国鉄は、その後、臨時雇用員の職員化につき種々の努力を重ねてきたものであり、昭和四一年協定の諸努力目標の達成への努力を怠っていたことはなく、まして、大阪工事局における女子職員採用試験において、控訴人の受験の機会をことさら排除したことは考えられない。

(2) 臨時雇用員の職務

控訴人ら事務補助職臨時雇用員の職務は、雇用契約の内容が正規職員とは違うことから、一般事務であっても、単純で補助的な仕事に限定されており、職務内容は正規職員と異なっていた。したがって、臨時雇用員の賃金等の処遇が正規職員との間に差異があっても、不当違法なものとはいえない。

第三証拠

原審及び当審の証拠関係各目録記載のとおり。

第四争点に対する判断

一  当裁判所は、控訴人の本件請求中、退職手当請求に関する部分は、一九万四九八〇円及びこれに対する平成五年五月一五日から支払済みまで年五分の割合による金員の支払いを求める限度で相当として認容すべきであるが、同部分中その余の部分及び慰謝料請求に関する部分はいずれも失当として棄却すべきものと判断する。その理由は、以下のとおり付加訂正するほかは、原判決事実及び理由欄第三記載のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決二一頁三行目の「足りず、」の次に「控訴人が主張するように、国鉄が、当時、職員の退職時及び新規採用時になすべきであった筈の行為を行っていないことだけでは、右退職に関する判断を覆すに足りないというべきであり、」を加える。

2  原判決二七頁三行目から同末行までを次のとおりに改める。

「(三) 法三条一項は、四条(長期勤続後の退職等)、五条(整理退職等)の場合を除いた、普通退職の場合の退職手当の算出方法を規定する原則規定であって、勤続期間が一年以上二四年以下の場合に適用されるものであり、法三条二項は、いわゆる自己都合退職の場合の減額された支給率を規定する例外的規定であると解される。控訴人の勤続期間は一〇年未満であり、雇用期間満了雇止めにより退職したものであるので、同条一項を適用して算定すべきである。

(四) 以上によれば、控訴人の退職手当の額は、七〇万四八〇〇円を超えないものと認められる(六二六〇〇×一〇〇分の一〇〇×二+九六六〇〇×一〇〇分の一〇〇×六=七〇四八〇〇)。」

3  原判決二八頁末行の「こと」の次に「昭和四一年協定(<証拠略>)における臨時雇用員の使用に関する取決めは、控訴人のような臨時雇用形態を法的に許さないとする性質のものと認めることはできないこと」を加える。

4  原判決三〇頁一行目の「いえず、」の次に「控訴人は、当審主張1(一)(1)(ウ)において、右取扱が、解釈運用方針第二条関係及び法施行令一条の文理に反し違法であると解すべき事情及び根拠をるる述べるけれども、右らの点を考慮してもなお、右取扱が違法であるということはできないから、」を、同三行目の「(三)」の次に「控訴人は、」を、同三一頁末行の「主張する」の次に「(当審主張1(一)(3)同旨)」を、同行末尾に「なお、国有林野事業における常用作業員については、基本部分を日給制とし、それ以外に扶養手当等が別途支給されている(<証拠略>)のであるから、これと国鉄の臨時雇用員の場合とを同断に論じることはできない。」をそれぞれ加える。

5  原判決三二頁一行目冒頭から同三四頁五行目末尾までを次のとおりに改める。

「(六) 被控訴人は、法三条一項が勤続期間一一年以上の場合について、同条二項が勤続期間が一〇年以下の場合についての退職手当の算定方法を定めたものであるので、控訴人の退職手当の額は、同条二項を適用して、昭和五一年九月における俸給月額×一〇〇分の六〇+昭和五八年九月における俸給月額×一〇〇分の七五の方法で算定すべきである、と主張し、なお、当審主張2(一)(1)のとおり主張する。

しかし、法三条一項は、四条(長期勤続後の退職等)、五条(整理退職等)の場合を除いた、普通退職の場合の退職手当の算出方法を規定する原則規定であって、勤続期間が一年以上二四年以下の場合に適用されるものであり、法三条二項は、いわゆる自己都合退職の場合の減額された支給率を規定する例外的規定であると解されることは、3(三)判示のとおりである。法三条一項が勤続期間一一年以上の場合についてのみ適用されるものであるとすると、退職理由は種々存するのに、同条二項は「その者の都合により」退職した場合についてのみ規定しているにとどまるから、勤続期間一〇年以下のその余の理由による普通退職の場合については、その額を定めるための割合に関する規定を欠くという不合理を生じることになる。基準規程一〇条一、二項は、法三条一、二項と同趣旨の規定であるけれども、これを別異に解すべき理由はなく、また基準規程の右条項の適用につき、普通退職をした者についても、勤続年数一〇年以下の者については同条二項を、一一年以上の者については同条一項を適用するような慣行が国鉄において確立していたものと認めるに足りる証拠はない。また、法の関係規定をみれば、退職手当の額は、勤続期間又は退職理由を基準として功績・功労の度合を評価する形で、算定方法が定められているが、退職理由についていえば、基準規程(<証拠略>)における勧奨退職(一一条)や整理退職(一二条)の場合と本人の都合による退職(一〇条二項)の場合との取扱にも端的に現れているように、官側の利益につながるものについては手厚く、不利益につながるものについてはその逆に、取り扱われている。控訴人は、雇用期間満了雇止めによって退職した者であり、自己都合によって退職した者ではないから、基準規程一〇条二項の自己都合による退職として不利に取り扱われるべきいわれはない。この点に関する被控訴人の主張は採用することができない。」

6  原判決三四頁六ないし七行目の「五〇万九八二〇円」を「七〇万四八〇〇円」と、同八行目の「同額」を「五〇万九八二〇円」と、九行目の「理由がない。」を「その差額である一九万四九八〇円とこれに対する本訴状送達の翌日であることが記録上明らかな平成五年五月一五日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による金員の支払いを求める限度で理由があるが、その余の右請求は理由がない。」と、それぞれ改める。

7  原判決三五頁七行目冒頭から同三九頁一行目末尾までを次のとおりに改める。

「(二) (証拠・人証略)(後記採用しない部分を除く。)によれば、次の事実が認められる。

(1) 国鉄の定員は昭和二四年の行政機関職員定員法に基づき大幅に削減された(国鉄の職員数は、昭和二三年が六〇万四二四三人、昭和二四年が四九万〇七二七人となっている。<証拠略>)。その後、朝鮮戦争の勃発等により、その業務量は飛躍的に増大したが、定員増はまず困難であったため、臨時雇用員がかなりの職域で雇用されていった。昭和二一年二月に結成された国労は、仲裁裁定がようやく完全実施されるようになり国鉄の第一次長期計画が始まった昭和三二年頃から、不安定な状態で働く臨時雇用員の問題に取り組み、その職員化を目指して国鉄と交渉を重ねた。昭和三九年九月二八日、国鉄総裁と国労中央闘争副委員長との間に成立した「臨時雇用員の措置等に関する了解事項」(<証拠略>)は、「<1> 臨時雇用員(採用試験に合格し、職員に採用を予定されている者)については、今後の要員需給との関連に置いて職員化するよう努める。<2> 採用前提以外の臨時雇用員については、職員への採用試験を受験する機会を与えるよう積極的に努力する。」等を内容としている。

(2) 国鉄は、昭和三九年頃には一兆円という巨額の長期債務を残すその財政の再建問題が議論されている時期であったが、昭和四〇年から第三次長期計画に入った。他方、高度経済成長の中で採用前提臨時雇用員の国鉄への定着を図る必要もあり、その解消を図る目的で準職員(雇用契約に基づいて業務に従事する者であって、かつ、職員となるための教育訓練を行い、職員としての適格性を判断する期間内にある者。<証拠略>)制度を設けた。そのような状態の下で、昭和四一年一二月一七日、昭和四一年協定が締結された。問題の中心は採用前提以外の臨時雇用員の職員化に移っていたが、国鉄当局としては、右のような客観情勢から難色を示していたものの、五万人合理化問題を解決しつつ(国鉄の職員数は、昭和四一年の四六万九九六三人から漸次減少し、昭和五〇年には四三万〇〇五一人、昭和五八年には三六万〇四五八人となっている。<証拠略>)第三次長期計画を乗り切るという基本的な考え方から、労使共に一定の節度を保ちつつ、相互の信頼関係に基づいて、協議をした結果である。

(3) 昭和四一年協定(<証拠略>)の内容は、次のとおりである。

「臨時雇用員の使用に関する了解事項

1 臨時雇用員は、次の各号の場合に使用することとする。

(1) 著しく波動のある業務又は臨時に必要のある場合

(2) 業務の体質改善等の過程において、要員需要上必要ある場合

(3) その他特に必要と認めた場合

2 現在使用中の臨時雇用員で、前項によりがたいものについては、段階的に解消するようにする。

3 臨時雇用員の解消策等については、昭和四二年九月末までに、結論をうるよう協議する。

4 臨時雇用員が職員採用試験の受験を希望するときは、受験の機会を与えるようにする。

5 業務の都合による国鉄部内の他職への転用及び部外への就職あっせんについては、努力する。」

なお、交渉の過程における「(組合)了解事項第4項の採用試験の受験にあたっては、年令制限は行うべきでない。(当局)了解。」との応酬が議事録確認されている。

(4) その後、昭和四二年一二月一五日(4項は、「・・・受験の機会を与える。」となっており、「6 この協定の有効期間は、1箇年とする。」が加わっている。)、昭和四三年一二月一五日(前同)及び昭和四四年一二月一五日(前同)に同一内容の協定の締結を経て(<証拠略>)、昭和四七年三月一日「協定等の整理に関する協定(第3次)」により、昭和五六年六月一日「同協定(第5次)」により、さらに昭和五九年一二月一日「有効期間の定めのない協定等の整理に関する協定(第3次)」により、昭和四一年協定の存続が確認されたが(<証拠略>)、昭和六二年三月二五日付覚書(<証拠略>)により、同月三一日をもって廃棄する旨、確認されている。その間、婦人部によるそれは別として、国労本部調査部において、国鉄当局による昭和四一年協定に従った実施がなされているか否かに関して十分な調査を行った形跡は窺われない。

右認定事実によれば、控訴人の採用から退職にいたるまでの間、昭和四一年協定は有効に存続していたものと認められる。しかし、右認定事実に現れた、国鉄が多数の臨時雇用員を雇用する原因となった背景事情(そこには、容易に解消するとは思えない、深刻で根深い複数の要因が存在している。)、昭和四一年協定締結に至る経緯及びその後の経過、同協定に定められている事柄の性質及び用いられている文言、同協定締結時に国鉄当局が示していた態度、同協定の実施状況に対する国労本部調査部の態度等を併せて考えれば、同協定は、臨時雇用員の使用に関し一般的・抽象的な方針について合意したものにすぎず、各項の合意自体に照らしても、努力目標を共同で設定することに主眼が置かれていたものと認められるのであって、昭和四一年協定が国鉄に法的義務を設定するものとして締結されたものと認めることはできない。当審(人証略)の、右協定は法的義務のあるものとして成立したものである旨の証言は、右に述べたところに照らし、採用できない。したがって、昭和四一年協定により、国鉄が、控訴人に対し、控訴人が職員採用試験の受験を希望するときに、受験の機会を与えるべき義務を含め、職員として採用する機会を与えるべき法的義務を負ったものと認めることはできない。」

8 原判決三九頁四行目の「主張する」の次に「(当審主張1(二)(2)同旨)」を、同四〇頁二行目の末尾に「また、そうである以上、国鉄の右年齢制限等の取扱が直ちに法の下の平等(憲法一四条)、募集・採用における機会均等(男女雇用平(ママ)等法七条)に違反するものということもできない。」を、それぞれ加える。

9 原判決四〇頁七行目の「主張する」から同四一頁三行目の末尾までを次のとおりに改める。

「主張し、なお、当審主張1(二)(2)(3)のとおり主張する。

(証拠略)及び原審における控訴人本人尋問の結果によれば、次の事実が認められる。

(一) 控訴人は、縁故募集により自己都合で辞めた臨時雇用員の後任として大阪工事局に採用された者であり、採用に際しては、二箇月契約の臨時雇用員で、職種は事務補助であるとの説明を受け、契約書は二箇月となっていたけれども、その際の説明から、更新が予定されているものと受け取った。その臨時雇用員雇用契約書は、当初は二箇月毎に作成されていたが、昭和五〇年一二月以降昭和五三年一二月までは、予め一年間分を一枚にまとめた契約書を作成してその後二箇月毎の更新の度に被雇用者欄に控訴人が押印するという形で作成され(もっとも、昭和五三年二月一日から同年三月三一日までの欄には雇用者欄の担当者の押印、被雇用者欄の控訴人の押印はいずれにもなされていない。)、遅くとも昭和五六年四月以降は、また二箇月毎に作成されている。

(二) 控訴人は、終始停車場第一課に配属されていたが、その業務としては、掃除、お茶汲み、往復文書の整理、配属課所属職員の出張用乗車券の購入、書類の浄書、業務資料の配布等のほか、いつの頃からかは定かでないが、配属課所属職員の出張命令書兼旅費請求書の作成にも関与し、その給与等の受取配布や超勤・出張命令整理表、消耗品等請求書等、毎月の報告物の作成等も行っていた。

(三) 控訴人は、入社の一年後頃から大阪工事局分会の婦人部長として、臨時雇用員の、賃金額その他で職員との差が大きい待遇の改善や職員化の問題に取り組み、これらに関する要求を地方の交渉単位に交渉事項として取り上げてもらい、昭和五〇、五一年には職員化をもテーマとする国労本部と国鉄当局との団交にも出席した。

(四) 国鉄が昭和五九年一二月に発行した「国鉄の勤務制度 その解釈と運用」(<証拠略>)には、「国鉄においても、季節や時間帯によって、所属職員だけでは対応することのできない臨時的な業務が発生する場合が多く、それらに対応するために臨時雇用員が雇用されており、これらの者を諸給与等取扱基準規程第2条1 1項の中で、『臨時雇用員とは、時間ごとに、若しくは日々雇用され、又は2箇月以内の期限を定めて雇用される者のうち、準職員以外の者をいう』と定義している。・・・これらの労働者に関する就業規則は・・・一般職員に適用される就業規則とは別に作成されることとなる。」と、また、特定の場合に臨時雇用員に特別非番日を付与することにした理由につき「・・・国鉄が過去において、臨時雇用員であっても、職員の業務内容とあまり差のない業務に就かせて雇用契約を繰り返してきたため、職員とほぼ同じように扱うことが公平であるとの観点から、このような業務に従事する臨時雇用員に対して特別非番日(非番日)を与えることにした」と、記載されている。また、控訴人が二男を出産した昭和五二年五月までには、臨時雇用員に対して産休制度(無給)の適用が認められ、分娩については一時金も継続扱いというように、整理されていた。

以上の認定事実によれば、国鉄における臨時雇用員の更新による雇用契約の繰返しや控訴人の行ってきた業務の内容は、国鉄当局が臨時雇用員の更新による合計の雇用契約期間やその業務内容として右(証拠略)で予定しているようなものとはかなり違ったものであるといえる。しかし、前記認定のように、大阪工事局は、控訴人との間で雇用期間を二箇月とする事務補助を行う臨時雇用員として雇用契約を締結し、右契約の内容に従って控訴人を処遇していたものであるところ、前記認定の昭和四一年協定締結前後の背景事情及びその後の関連諸事情の変遷の中で、国鉄当局としては、それなりに臨時雇用員の、待遇の改善、職員化への努力はしていたものであり、他方、控訴人としても、不満を持ち続け、その改善へ向けての組合活動に励んでいたものではあるが、それはそれとして、その自由な意思に基づいて、右締結した臨時雇用員としての契約の下で雇止めに至るまで勤務を続けてきたものであることを思えば、大阪工事局の右雇用契約の締結行為やその契約内容及びそれに基づく待遇が、雇止めの効力が確定した後において、控訴人が、その主張の点を理由として被控訴人に対し、不法行為による損害賠償を求めることができる程の違法性のあるものであったと認めることもできないところである。また、そうである以上、控訴人としては、右取扱が、法の下の平等(憲法一四条)、男女の同一賃金の原則(労基法四条)、同一労働同一賃金に関する条約(ILO一〇〇号条約)に反し、違法であることを理由として被控訴人に不法行為による損害賠償を求めるに由ないものというほかはない。」

二  よって、本判決と結論を異にする原判決を主文のとおり変更することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法九六条、八九条、九二条を、仮執行の宣言につき同法一九六条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 富澤達 裁判官 古川正孝 裁判官三谷博司は、転補につき署名捺印することができない。裁判長裁判官 富澤達)

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